キャパシティ計画の基本と活用術を解説し、策定に役立つツールを紹介

寄稿者 Sarah Laoyan の顔写真Sarah Laoyan
2024年4月24日
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概要

この記事では、キャパシティ計画とは何か、その基礎知識について解説します。キャパシティ計画 (capacity plan) の種類やプロセス、メリットについて知り、正しいキャパシティ計画を立てましょう。また、最適なキャパシティ計画を立てるために役立つツールもご紹介します。

更新: この記事は、キャパシティの意味に関するさらに詳しい記述を含めて 2024年 4月に改訂されました。

ケーキを焼く前には、まず正確な分量の材料を確実に用意するものです。卵や砂糖が足りなければ、当然、ケーキの味は少し落ちてしまうでしょう。

大きなプロジェクトについても同じことが言えます。プロジェクトを完了するために十分なリソースがなければ、期待通りの結果は得られません。必要なときに必要な材料、つまりチームメンバーやスキル、ツールをすべて確保するには、キャパシティ計画 (capacity plan) を活用します。


キャパシティ計画は、テンプレートを使用して効率的に作るのがおすすめです。クラウド型プロジェクト管理ソフトウェア Asana では、毎回ゼロから作る必要がないように、キャパシティ計画用のテンプレートを使用できます。自由自在にカスタマイズできるので、個々のニーズにも対応可能です。

キャパシティ計画テンプレートを作成

キャパシティとは?

英語の「capacity」から来る「キャパシティ」とは、そもそも何を意味するのでしょうか?使われる場面によってさまざまな意味がありますが、日本語では「収容力、容積、容量」という意味を持つ単語です。イベント会場などの収容人数や収容能力を示して「キャパが大きい」などと使われるのを聞いたことがあるでしょう。

ビジネスシーンにおいては、とくに個人の能力や生産能力を示すことが多いです。自分のスキルレベル以上、もしくはこなせる量 (許容量) を超える業務を任されたとき「キャパオーバー」という表現は、よく使われるので聞いたことがあるはずです。

キャパシティ計画とは?

キャパシティ計画は、プロジェクトに必要なリソースを判断するプロセスです。「必要なときに適切なリソースを使えるようにすること」とも言い換えられます。

なお、リソースとは、適正なスキルをもった人員、ほかのプロジェクトを追加できる時間的余裕、必要な予算などを意味します。

キャパシティ計画とリソース計画の違い

この二つはしばしば同じ意味で使われますが、キャパシティ計画とリソース計画は似ていても、プロジェクト計画の戦略としては多少の違いがあります。

キャパシティ計画とリソース計画の違い

キャパシティ計画のポイントは「リソースの需要と供給」です。優れたキャパシティ計画があれば、どんな場合にリソースの需要が増加するかを予測し、リソース不足を想定できます。

リソース計画は「すでに持っているリソースをどう割り当てるか」を中心としたプランをまとめたものです。そしてリソースキャパシティ計画はこの二つを組み合わせ、今後必要になるリソースの増加を予測します。

記事: 初めてのリソース管理ガイド【よりスマートな働き方】上手なリソース管理の方法とは

キャパシティ計画の種類

キャパシティ計画には、以下の 3 つのタイプがあります。

  • リードキャパシティ計画

  • ラグ戦略によるキャパシティ計画

  • マッチ戦略によるキャパシティ計画

それぞれ異なるシナリオで利用され、生産キャパシティを最適化します。ひとつひとつについて、詳しくチェックしていきましょう。

リードキャパシティ計画

リードキャパシティ戦略 (リード戦略) とは、リソースの需要が高まることが予想された時点で、生産キャパシティを増大するプロセスです。

リードキャパシティ計画の例としては、小売店がホリデーシーズンに臨時スタッフを雇用する場合が挙げられます。小売店の雇用主は、この時期に顧客が増えるのがパターンであることを知っているため、短期間、追加でスタッフを増員します。

ラグ戦略によるキャパシティ計画

ラグ戦略によるキャパシティ計画は、実際の需要を確認してから生産キャパシティを上げる方法です。

これは飲食業界で、待機スタッフがいる場合などによく見られる戦略です。レストランの混雑具合に合わせて、その晩の顧客全員にサービスを提供するために十分なリソース (この場合はチームメンバー) を確保できるよう、マネージャーが追加のチームメンバーを呼び出します。

マッチ戦略によるキャパシティ計画

マッチ戦略によるキャパシティ計画は、リード戦略とラグ戦略を組み合わせたものです。マッチ戦略によるキャパシティ計画では、リソースの活用が望ましい状態になるまで、段階的かつ小規模にキャパシティを増加していく必要があります。

先ほどの飲食業界の例で見てみましょう。フロアマネージャーは、その晩のために数人の従業員を待機させています。予想外に大人数の客が来店した場合、マネージャーは混雑が解消されるまで、スタッフ 1 名から徐々に応援を呼ぶ判断を下します。

Asana でプロジェクトを計画する

キャパシティ計画のプロセス: 5 つのステップ

キャパシティ計画のプロセスは会社によって異なりますが、どんな使い方でも必ず必要になる基本ステップがいくつかあります。ここでは、基本となるキャパシティ計画の手順を確認しましょう。

キャパシティ計画のプロセス

1. 需要を予測する

新規プロジェクトの立ち上げがわかった時点で、そのプロジェクトでどんな業務が必要になるか、知識や経験に基づいて予測を立てます。これによって、プロジェクトを完了するために必要なリソースを予測し、予測と現在利用できるリソースとを比較できます。

2. 必要なキャパシティを判断する

前のステップでの予測に基づき、業務の完了に必要なキャパシティを見積もります。時間数などの一般的な測定単位や、T シャツ見積もりのようなプロジェクトの見積もり手段を使って判断しましょう。たとえば、エンジニアリングチームのマネージャーなら、プロジェクトの完了に必要な作業時間数に応じて、キャパシティ計画を立てます。

3. 現在のチームのリソースキャパシティを計算する

チームの現在の仕事に新しいプロジェクトを追加する場合は、チームが燃え尽きないよう、新規プロジェクトをこなす余裕があるかどうかを確認する必要があります。平均的な従業員が週に約 30 時間働けるとして、その人が現在、プロジェクトに取り組んでいる場合には、現在の仕事量を時間数で表し、その 30 時間から引き算して、1 週間のキャパシティを割り出します。

4. 現在のキャパシティと必要なキャパシティの差を測定する

プロジェクトに必要なキャパシティに基づき、現在あるリソースと、想定される需要とを比較します。

チームのキャパシティを可視化するには、仕事量の見える化を可能にする Asana を試してみましょう。現在割り当てられている仕事量はどれくらいで、どの程度余白があるのかを明確にして、キャパシティ計画を立てることができます。

5. キャパシティと需要を一致させる

キャパシティの差を確認したら、需要と一致するように調整します。チームの現在のキャパシティが一杯で、プロジェクトの完了に必要な追加の業務を引き受けられないなら、臨時でチームメンバーを増員してプロジェクトを完了させます。必要以上にリソースがある場合は、さらにプロジェクトを追加して、利用できるリソースを活用することも考えましょう。

記事: ビギナーズガイド: 制約理論

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キャパシティ計画のメリット

プロジェクトマネージャーがキャパシティ計画を作成するべき理由は何でしょうか?さまざまなプロジェクトに必要なキャパシティを把握しておけば、プロジェクトの進行を妨げるボトルネックを防ぎ、プロセスをスムーズに進められます。ここではキャパシティ計画のメリットをいくつかご紹介します。

[メリット 1] 情報に基づくタスク割り当ての判断ができる

新規プロジェクトが見込まれる場合、チームの余力を圧迫しないようにキャパシティ計画を立てましょう。チームのキャパシティを明確に理解することで、燃え尽き症候群を防ぐことができます。

効果的なキャパシティ計画があれば、チームの現在のスキルセットと新規プロジェクトに回せるチームの時間に矛盾が生じません。プロジェクトに使えるリソースが不足していれば、チームにリソースを追加すべきであるとわかります。

チームのスキルセットを理解し、追加の仕事に対するキャパシティを把握することで、燃え尽き症候群を防ぎ、タスクの割り当てに関する意思決定プロセスを円滑に行えます。

[メリット 2] 生産コストを最小限にする

チームのキャパシティを管理することによって、完了すべき仕事のスコープに合わせてリソースを最適化できます。つまり、必要以上にリソースに費用をかけずに済むため、結果的に生産コストの低減につながります。

たとえば、9 名で完了できる A というプロジェクトに 12 名のチームが携わっているなら、そのうちの 3 名をプロジェクト B に移動することで、プロジェクト A にかかるコストを削減できます。

[メリット 3] プロジェクト費用を軽減する

キャパシティ計画は、将来のプロジェクトにかかる費用の軽減にも役立ちます。ひとつのプロジェクトのためにキャパシティ計画を作成しておけば、それを今後、発生する同様のプロジェクトのベースラインとして利用できます。そうした目安を便利に活用すれば、必要なリソースの予測を一から立てずに済み、チームの時間を無駄にせず、速やかにキャパシティ計画を立てられます。

[メリット 4] 透明性を生み出す

優れたキャパシティ計画は、非効率的な箇所が明らかになり、作業を最大限最適化することができます。こういったデータを得ることで、プロジェクトのリソースや資金をどのように投資するかが明らかになり、プロジェクトの利害関係者 (ステークホルダー) からの信頼も高まります。

Asana でチームの仕事量を管理する

効果的なキャパシティ計画の立て方

キャパシティ計画をしっかり立てておけば、多くのメリットをもたらせてくれますが、では効果的なキャパシティ計画はどうやって立てればいいのでしょうか?

現在、さまざまなキャパシティ計画ツールが市販されています。こういったデジタルツールを活用するのは、仕事の自動化や標準化にもつながり、おすすめです。

どのツールを選ぶかは、チームのために何を優先するかが決め手になります。リソース管理ツールによっては、機能が限定的で、キャパシティ計画やリソース管理のみに特化している場合もあります。

Asana のような、チーム全員がアクセス可能なワークマネジメントツールなら、1 つのプラットフォームでチームの仕事量をモニタリングし、コミュニケーションを円滑化できます。

ワークマネジメントとは?チームがワークマネジメントを必要とする理由

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Asana ユーザーである Hudl のチームは、このツールを使ってチームの仕事量を定期的にモニタリングすることで、チームのキャパシティを手軽に検討し直し、メンバーが燃え尽き症候群になる前に、仕事の割り当てを調整しています。あらゆる業務を 1 つの共有スペースで確認できるため、どのメンバーも割り当てが重なることがありません。

詳しくは、『マーケティングの成功のために Asana を使ってプレイブックを書き替える Hudl』の事例をお読みください。

まとめ

ビジネスシーンにおけるキャパシティとは何か、そしてキャパシティ計画を活用することのメリットとおすすめのツールを紹介しました。プロジェクトを成功させるためには、そのためのリソースをしっかりと確保、管理することが大切です。

Asana のようなデジタルツールのサポートを利用して、キャパシティ計画策定を正しく行いましょう。

キャパシティ計画に関するよくある質問

Q: キャパシティとはどういう意味ですか?

A: キャパシティとは、日本語で「収容力、容積、容量」という意味を持つ単語です。一般的にはイベント会場などの収容人数やメモリの容量などに対して使われますが、ビジネスシーンにおいては、とくに個人の能力や生産能力をもっぱら指します。

A: キャパオーバーとは主に「能力超過」「キャパシティ超過」という意味で、求められる量が提供できる範囲を超えてしまった状態を言います。工場の生産ラインが発注量に対応しきれなかったり、従業員ひとりに対する仕事量が、個人の能力や容量を上回っている状態を指します。

A: プロジェクトをしっかりと計画し成功させるために、キャパシティ計画は必要です。キャパシティ計画を適切に立てることにより、多くのメリットがもたらされます。詳しくは本記事の『キャパシティ計画のメリット』をご覧ください。

A: キャパシティ計画ツールやリソース管理ツールは、チームやプロジェクトのニーズに合わせて選びます。Asana のようなクラウド型ワークマネジメントプラットフォームは、カスタマイズ可能なテンプレートを作成できるだけでなく、仕事を一元管理できたり、工数管理もできたりと万能です。詳しくは Asana セールスチームまでお問い合わせください。30 日間の無料トライアルもご用意しています。

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